所長あいさつ
ソフィアインプラントセンター所長
村上 斎(むらかみいつき)
生きがいに満ちあふれた真に豊かな人生を送るための基本条件は、心身ともに健康であることです。なかでも、毎日の食事を楽しんだり、生き生きとした会話によって人と円滑なコミュニケーションを保ったり、さらには自分自身の良いイメージを人に与えたりする上で、「歯の健康」は最も大切な要素のひとつと言えるでしょう。
さて、当センターではインプラントを用いた歯科治療を積極的に行っていますが、「インプラント」という言葉を聞いて、「人工歯根」という言葉を連想される方は、まだそんなに多くはないかもしれません。このインプラント治療は、近年、わが国でも急速に注目をあつめている最新の医療技術のひとつです。
歯のなくなってしまった患者さんは、これまで「入れ歯」を入れるしか治療の方法がありませんでした。ところが「インプラント治療」ができるようになってからは、顎の骨の中に植え込まれた人工歯根を支えにして、安定性のある固定式のブリッジで噛むことができるようになったのです。材料と科学技術の進歩によってはじめて可能になった、われわれにとって大変に意義のある医療技術であると言えるでしょう。
インプラントは子供の時の乳歯、大人になってからの永久歯、永久歯を失った後の人工歯根ということで、第三の歯と呼ばれています。その応用範囲は広く、歯を一本失った人から全部失った人(総入れ歯)まで、あらゆる欠損状況に対応することができます。
現在世界中で実際に使用されているインプラントには様々な素材とデザインのものがありますが、主流となっているのはチタン製のインプラントを顎の骨に埋め込む手術を行い、一〜三ヶ月後に二回目の手術を行ったうえで失った歯を修復する方法です。これは三十年近くの歳月をかけてスウェーデンで開発された方法で、わが国においても高度先進医療として厚生労働省の認可が与えられています。
また、最近では、一定の条件を満たす患者さんについては、手術を一回だけですませたり、手術を行ったその日に固定式の歯を入れることができるようになっています。このインプラント治療の方法が確立されたことにより、歯を失ったことに伴うさまざまな精神的、肉体的マイナス要素を克服でき、多くの患者さんに自信や生活の質を取り戻して頂くことが可能となりました。
周到な科学的研究を通じて開発された治療方法ですが、高い成功率と長期的安定性を得るためには、専門知識を十分に備えた歯科医師の適正な診断を受けることが必要です。その結果、従来の義歯やブリッジで十分であったり、むしろその方が適した場合もあります。あなた自身が患者となられたときには、歯科医師やデンタルスタッフと十分に相談したうえでしっかりと考え、最後には自主的な判断にもとづいて治療法を選択することが、あなたにとって最善の結果をもたらすのです。
当センターの名称に含まれる「ソフィア」という言葉は「智恵」あるいは「賢明な」という意味を持っています。当センターでは、インプラント治療を一つの選択肢としながら、他の治療法も検討し、その人に最も適した賢明な歯科治療を提案し、同意にもとづいて実行する業務に、スタッフ全員で取り組んでいます。